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トリハダ〜夜ふかしのあなたにゾクッとする話を

『トリハダ』はフジテレビ系列にて2007年に放送されたドラマで、内容はオムニバス形式のホラーである。
この作品を理解しやすい“トリハダ五箇条”というものがあり、

幽霊は出ない
超常現象は起きない
音楽で恐怖は煽らない
④過度な演出はしない
日常から逸脱しない

つまり、身近で起こり得るかもしれないことを題材としている。絶対に有り得ないことではないのでそれが恐怖心を煽るのかもしれない。


感想 と ネタバレ

主人公を演じる谷村美月さんが家でテレビを観るシーンから始まる。画面にはカウントダウンしている数字(55分くらい)と砂嵐が映し出されている。

オムニバス形式に主人公というのも変ですが、『トリハダ』の構成として、一つ一つの物語の間にこの主人公の話が挟まっており、最後はこの主人公の話で終わりとなっています。

「気づいた時が恐怖のはじまり」


深夜にコインランドリーを利用している女性。暇を持て余しており、ふとテレビに目を向けると街の様子をライブカメラが放映していた。画面をよく見るとおぼろげながら二人が何やら揉めている様子が映し出されている。食い入るように争いを見ているとなんと殺人事件にまで発展してしまったようだ。急いで警察に連絡しようと携帯を手にしてかけようとした時に、そこに非通知の電話がかかってきた。恐る恐る出てみると「見ただろ…」と受話器から声が、再びテレビを見てみるとライブカメラを見ながら電話をかけている殺人者の影が…

見ていたのはコインランドリーの女性だけではないのでは?どうして電話番号がわかったのか?というよりなぜわかったの?などしょっぱなから五箇条の⑤に触れそうですけど、怖ければOKですよね。
こちら側からしか視認出来ないはずなのに、こちらの存在に気づいているのはなんとも不気味です。


場面は戻って谷村さんの家、友達に電話をかける主人公。ところが「今、見てただろ…」と返答が、驚く主人公だが友達のいたずらだとすぐにわかった。
そう、谷村さんのパートは視聴者と同じオムニバスドラマを見ている設定ということ。
そして、主人公と友達は電話を通して一緒にテレビを観ることにした。

「未知と知のはざまの葛藤」

(女性が二人出てくるので色で分けます)
夜、バスに乗っている一人の女性。バスの中は運転手を除けば彼女一人だ。やがて停留所に止まり一人の女性が乗ってくる。そして、なぜかその女性はガラガラの車両の中わざわざ隣に座ってきた。先にいた女性は訝しげな表情をするが席を離れる理由がないのでそのまま座っている。また、停留所に止まり一人の男性が乗ってくる。だが、その男性がハッとした顔して振り返り女性の顔を見るなり叫び取り乱してバスを降りて行ってしまった。それを見て運転手も女性を確認すると同じように降りて行ってしまった。何が何だかわからず女性は立って呼び止めようとするが、元凶の女性が肩をつかまえ座らせる。そして女性はにっこり微笑み、物語は終わる。

あれだけ恐れられる
女性は一体何者だったのでしょうか。指名手配犯ぐらいしか思いつきません。
指名手配犯どころではないあの不気味さは演じている女優さん(濱田 万葉さん/はまだ まはさん)がすごいのかもしれません。綺麗なお顔をしているのに、最初の出会いの無音で無表情の場面は色んな意味でドキッとしてしまいました。そして最後の笑みは決して楽しくて出るような表情ではない笑みですごく不気味でした。
この話だけではないのですが、『トリハダ』はタイトルが良いですよね。ネタバレになってしまうこともありますが、タイトルで話が補完できるようなタイトル名になっています。例えばこの話の先にいた女性は後に乗ってきた女性のことを“未知”だったわけですが、男性や運転手にとっては女性のことを“知”だったということです。そして、男性達のリアクションにより後に乗ってきた女性は恐れられている存在だという情報だけが先にいた女性に入ってくるわけです。この状態が“未知と知のはざま”だと私は思いました。
グダグダ書いてしまいましたが、もちろんタイトルが無くても話は理解できる作りになってますよ。



そして、谷村さんパート。感想を言い合うが友達は彼氏から電話があり切られる。

「愛もしくは憎悪に関する記録」

地下鉄に乗っている男性。止まった車両からふと外を見ると、ぶちまけた荷物やら小銭を拾う女性がいた。そして扉が閉り、男性はつぶやくように「だっせ」と言った。その後、行く先々にその女性に出くわすようになり、不気味に思った男性は逃げるようにその場を後にした。
(恐らく)帰宅しようと地下鉄のホームで電車を待っている男性。もうすぐ電車が来るというときに小銭の音がする。何の気なしに小銭を拾うが、ふと脳裏に小銭を拾っていた女性が浮かぶ。嫌な予感がして振り返ると、真後ろにあの女性が立っていた。女性は笑みを見せると、電車がやってくるホームから突き落としたのだった。

前回と違って真っ向から不気味な女性です。こんなこと言ったら私も突き落とされそうですね。
タイトルに“愛”と入ってるということは女性は男性に恋心を持っていたのでしょうか。私は「憎悪に関する記録」だけでもよさそうな話だと思いました。
関係ないですが、電車を先頭で待っているときに、このように突き落とされないかいつも不安になってしまう私がいます。

「想像は人を支配する」

自宅のアパートで寝ている女性。騒音で目が覚めてしまうが、何やら隣の部屋が痴話喧嘩っぽい様子。女性の声と争う音しか聞こえないが、それが段々とエスカレートしていき、女性の断末魔のような叫びと複数回ドン!という音が聞こえたきり静まり返った。「死んじゃったの…?」と想像するが、今度はシャワーのような音が聞こえたので風呂場へ向かい聞き耳を立てる。袋のバサバサする音とテープをビリビリする音が聞こえ、死体を処理しているのかと想像する。が、その時誤ってシャンプーボトルを落としてしまい、物音を立ててしまった。そして気づかれたのか、蛇口を締める音、廊下を歩く足音、ドアを閉める音、共用廊下を歩く足音と何者かがこちらに向かって来るのが想像出来る。足音が止まったのでドアスコープを覗こうとした時に、ドンドンと乱暴にドアを叩かれた。女性は悲鳴を上げながら急いで携帯を手にして助けを求めようとするが、無情にもドアの鍵がゆっくり開かれた。
場面が変わって、先ほどとは反対側の隣の部屋の女性の住人。同じように争う声と騒音が聞こえるが住人は痴話喧嘩と想像する。そして、共用廊下は開け放たれたドアが複数並んでいたのだった。

最後のドアが並んでる場面は、女性が気づく殺人より前から連続して犯行が行われていることがわかります。無差別に殺害して回ってるのか、犯行を悟られたため殺害しているかはわかりませんが。でも、もしかしたら殺人なんて起きてないのかもしれません。全て想像ですから…
ドアが複数開け放たれている場面は怖さよりも可笑しさを感じました。見た目のシュールさもありますが、意表を突かれたこともあります。
物語の女性は充分対処する時間はあったと思います。しかし、異常事態に対して想像の域を超えることができなかったので対処が間に合わず殺されてしまったのでしょう。もし確信を持つことが出来ていれば、ドアにチェーンをかけることが出来たかもしれないですしね。


谷村さんパートは、窓から満月を見る主人公。背後で物音がして驚くがりんごが落ちただけだっった。そして二階へ。

「常に起こりえる監視のカタチ」

自宅で身だしなみをする女性に一件のメールが届く。それは何も意味を成さない数字と記号だらけの内容のメールだった。「また?」とつぶやく、どうやら何回も迷惑メールが来ているようだ。メールは削除し香水をつけて慌ただしく家を出た。
夜、女性は帰宅し、なんとなしに香水を見る。すると、香水の位置が外出する前と違っている気がするのだ。友達に相談するが、気のせいだと取り合ってもらえない。不信なことが続くので明日、変えたばかりの携帯電話をまた変えることにした。
次の日、外出する際に念のため香水の位置をマークした。そんなことをしているとまた迷惑メールが来たが、頭にきたので「いい加減にしろ!」とメールを返信した。
そして夜、帰宅すると一通のメールが来る。内容は「オレニ クチゴタエ ユルサナイ」と自分が写っている写メだった。今までと違って内容に意味があり、変えたばかりの携帯に来るメールに恐怖を感じる女性。更に「オマエ モウオワリ」と自宅の前にいる自分の写メが届く。そして連続して、「キタヨ」と玄関の写メが届く。恐ろしくなった女性は相談していた友達に電話をかけた。その友達に警察に連絡をするように促され、すぐにかけようとするがその時またメールが来た。「ツウホウシテモ ムダ」という内容と、携帯を持って怯えている自分の姿を上から撮られている写メだった。女性の背後で天井裏へのドアが徐々に開き、振り返ったところで位置のずれた香水が映し出されて終わり。

私は男なのでほぼストーカーの心配はないですが、独り身の女性にとっては不安になる物語ですね。3つ目の話も捉えようにとってはストーカーみたいなものなので、だとするとタイトルに“愛”は必要だったのかなと思ったり。
自宅前の帰宅中の写メがあるってことは、外から天井裏に行けるルートがあるってことですよね。さすがに中に人がいる状態で部屋から天上裏に行くのが無理がありますし。アパートってことはもしかして隣室から天井裏が繋がったりしてるのかな。どっちにしろ不用心すぎる設計ですね。
ここで唐突に犯人予想。携帯ショップの店員と予想します。携帯アドレスを教えてもらえる知人レベルの可能性もありますが、結構近くで盗撮をしており顔見知り以上の存在だと女性にバレる可能性があるので、携帯ショップの店員と予想してみました。予想はしてみましたが、話の中に犯人の正体を匂わす演出が無かったので、そこら辺は誰でもいいんでしょうね。


谷村さんパート、ドラマ中に友達と電話は再開してた様子。ドラマの展開から天井を棒でつついて確認する主人公。

「そこにある欲望と衝動の闇」

夜道で泥酔している模様の男性。道中にあった公衆トイレの小便器で用を足していると「たすけて♡」という壁の落書きに目が留まる。酔いのせいもあってかノリで「いいよ たどころ(男性の苗字)」と書き、財布を落としたことに気づかず去ってしまう。
翌日、財布を探しにトイレに寄ると小便器の上に財布があるのを発見する。財布があったことに安堵するが落書きを思い出す。壁を見てみると「いつ?♡」と書き足されていた。まさかの返答があったため「いつでもいいよ たどころ」とまた書き込む。
夜、落書きを確認するためにトイレに行くと、またしても書き足されていた。「メガネ ステキだね♡ 電話してね」と電話番号と一緒に書き込まれていた。なぜ文字でしか交流をもっていないのにメガネをかけているとわかるのか、と怪訝に思ったが意を決して電話をしてみることに。すると、着信音が近くで聞こえてきた。それもこの公衆トイレの中だ。着信音が切られると使用禁止の張り紙が貼ってある個室のドアがゆっくり開いた。

え?これで終わり?と思うかたがいるかもしれない。というより私が思った。オチを考えると、こんな薄暗い公衆トイレで来るかわからない人を個室で待つ不気味なやつがいるっていう恐ろしさでしょうか。
財布を落とすという行為は物語的にどういう理由があったのか。公衆トイレに再び行く理由を付けるため?謎の待ち人に財布の中の免許などからメガネという情報を与えるため?おそらく前者でしょうけど、落ちてた財布が小便器の上にあったのは謎の待ち人が一度手にしたってことも考えられそう。もちろん後から入ってきた普通の人が置いてくれたって可能性もありますが。それにメガネの確認方法はずっと使用禁止の個室にいたからわかったってほうがより不気味ですよね。


ここから終わりまで谷村さんのパート。
電話で都市伝説のような話をする主人公だが友達は全く怖がらない。今度は友達が余命診断という話を持ち出してきた。午前3時33分33秒にテレビの砂嵐を携帯で撮る(ドラマ上でバーコードリーダーとなってました)とサイトに飛ぶことができ、そこで出てきた数字が余命らしい。半信半疑でやってみる主人公だが、なんと実際にサイトへ行くことができたのだ。そして出てきた数字は「60S」だった。出来たことと数字を友達に報告すると「60年生きられるってことだ」と返答があった。なんとも言えない結果に落胆する主人公だが、ふと携帯を見てみるとさっきの数字がカウントダウンし始めていた。それを友達に再び報告すると「もしかして60秒だったりして」と心無い返答。戸惑う主人公は1階から何か物音がするのを聞いた。部屋から顔を出してみると何者かの足音が聞こえた。急いで携帯の電源を切ると足音も止まった。ほっとする主人公だが、またすぐに足音がし始めた。携帯に目を落とすと電源が切れているはずなのに数字のカウントダウンがまた表示されていた。どんどん近づく足音、そして、ドアの開く音がして振り返ると主人公の絶叫でエンドロールが流れる。


余命診断をしたことにより襲われる運命になったのか、たまたま強盗か何かで死ぬ運命だったのを余命診断が結果を弾き出したのかどっちなんでしょうね。
電源を切ったのに数字が出るって五箇条の②に触れてない?って思ったりしましたが、そもそも余命診断そのものが実在しえないので置いときましょう。というより
“トリハダ五箇条”自体が劇場版で提示されたものなので、TV版には当てはまらないのかなと思ってみたり。
「60S」のSについて思ったのですが、作中では秒数じゃないかと指摘されてましたが、もしかしたら歩数ってことも考えられないでしょうか。STEPのSです。足音がやけに強調されていたし、足音に合わせてカウントダウンされている気がしたからです。1秒=1歩で歩いていたからと言われたらそれまでですが。
そしてエンドロールですが、冒頭で“カウントダウンしている数字と砂嵐が映し出されている。”と書きましたが、恐らくそれの続きです。オムニバスドラマと谷村さんパートの間にもちょくちょく表示されていて、(たぶん)放送時間に合わせて秒数が減っていました。エンドロール時では40秒ほどしか残っていません。これは余命診断を視聴者に疑似体験させる演出だと思われます。なのでエンドロール中にも足音が聞こえます。ということはやっぱりSは秒数でいいみたいですね。


お気に入りの話は2番目の「未知と知のはざまの葛藤」ですね。理由としては、恐怖の対象となる女性がバスに乗ってきて座るという行為だけで、他にはほとんど何もせずに話として成立させてることがおもしろいと思いました。他の話は、恐怖の対象者は何らかの行動をして怖さを演出していますが、この話だけはほとんど座っているだけです。いるだけで恐怖を演出してるのはすごいですね。後、全ての話の中で実際に一番ありえそうなのがこの話かなと思ったのもあります。
トータルとしては、
元々私がホラー物好きということもありますが『トリハダ』好きです。この作品は見終わった後、布団に入った時にふと思い出して「もしかして…」と尾を引くような怖さがある作品です。
怖すぎるのは苦手って人でも一つの物語が短いのでサクッと見られます。同局の『放送禁止』や『世にも奇妙な物語』が好きな人にもオススメです。

オススメ度:★★★★☆
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プロフィール

HN:
シロー
性別:
男性

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